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 薬害サリドマイド事件は、1963年にサリドマイド被害者が国と製薬会社と相手取って裁判を起こし、10年という長い歳月をかけ争ったのちに、ようやく1974年10月に和解調印にいたりました。その和解調印の席で国は「悲惨な薬害が再び生じないよう最善の努力をする」と誓いました。旧西ドイツで販売・製造されたサリドマイド剤は、流産や死産も含めると最終的に世界中で1万人以上の副作用被害を出したと推測され、被害を受けた幼い子どもたちの半分は命も奪われてしまいました。
 2002年12月に政府は一年前に閣議決定した「特殊法人等整理合理化計画」を実施するとし、これまで厚労省が行ってきた医薬品機構の副作用被害救済事業をあらたに設立させる独立行政法人医薬品医療機器総合機構に委託する法案を成立させました。しかし、これには多くの問題点も含まれていました。1997年に薬害エイズの教訓から安全対策の強化を図るために医薬品等の安全対策部門から研究開発部門を切り離すという組織再編を行ったにもかかわらず、ふたたび新法人は多くの薬害事件を起こした旧体制と同じように安全対策部門と研究開発部門を統合しようというのです。また、新法人では製薬企業から審査手数料を取り、審査体制の充実強化を図りたいとしています。
 非公務員型の新法人では、製薬企業の元役員や社員は専門知識を有する人材確保の名目で多数採用されることが予測されますが、採用や退職後の製薬企業の再就職も含め、なんら人事に関する規制がされていません。人材も資金も製薬会社に依存した体制で、果たして国民の健康を守るという立場を堅持した公正な判断ができるでしょうか。このままでは製薬企業との人的癒着を深め、審査・安全対策の形骸化を招きかねないのではないでしょうか。ふたたび悲惨な薬害事件を起こすだろうと想像してしまうのは私が薬害被害者だからでしょうか。
 法案審議中に厚労省が法案提出前に各製薬会社への説明を行っていたことが、参考人審議で明らかになりました。薬害被害者への説明の3ヶ月も前のことでした。薬害被害は、まだ過去のものではありません。現在、MMRやC型肝炎、陣痛促進剤など係争中の薬害事件はたくさんあります。私を最も落胆させのは、厚労省の対応に猝害を二度と起こしてはならない瓩箸いΥ禳垢靴鮓つけ出すことができないことです。

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