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 昨年の12月下旬、私たちは、小児へのインフルエンザワクチン接種に関して、坂口厚生労働大臣に要望書を提出した。要望の趣旨とその理由は大要つぎのとおりである。

1. インフルエンザワクチンは小児への適応の根拠がないことを乳幼児の保護者、医療関係者に周知徹底すること
2. 有機水銀系防腐剤の含有の有無、その量および局所副作用以外に、自閉症や注意欠陥多動症障害など脳神経系への副作用の可能性について、情報提供を徹底して行なうこと
3. すべてのワクチンについて、有機水銀を含まないものへの転換の進行状況を公表すること

 私たちは、かねてから小児に限らず、インフルエンザワクチンの有効性について疑問を抱いているが、つぎのような状況に危惧を覚えるものである。
(1) 昨年の予防接種法の改正に関連して、65歳以上の高齢者の接種に対して補助金が出されるようになり、インフルエンザワクチンの接種が奨励されるべきかのような誤解を与えている。(2)小児へのインフルエンザワクチンの有効性については、予防接種法改正の国会審議における政府答弁でも明らかなように、研究段階であって効果は証明されていない。むしろ、私たちの分析では、ワクチンは発熱などを高める傾向があり、多数の副作用が出現している可能性が高い。(3)インフルエンザワクチン脳症などがマスコミで取り沙汰され、あたかもワクチンで予防できるかのような誤解を与えている。(4)さらに、添加されている有機水銀系防腐剤、チメロサールは、自閉症や注意欠陥多動症障害の原因ではないかとして米国など海外で問題になっているが、添付文書には何ら記載されておらず、現場の医師にはほとんど情報が提供されていない。有効性の確認されていないワクチンにより、脳神経系の発展途上にある小児に水銀暴露が繰り返される危険性は回避すべきである。
 以上のことから、緊急に要望書を提出したものである。
 なお、私たちの見解を広く明らかにするために、厚生労働大臣への要望書を日本小児科学会をはじめ関係する学会や団体にもお送りした。これに対し、日本小児科学会から、3月29日付で同学会の「予防接種委員会の答申」の報告という形で見解が寄せられた。
 詳細はホームページを参照いただきたいが、小児へのワクチン接種に関しては、「乳幼児・学童へのインフルエンザワクチンの接種はハイリスク者に限り接種を推進したい」とし、その効果等については、現在行われている厚生労働省の研究結果を見たうえで一定の見解を公表する予定ということであった。また、有機水銀に関しては、「添加物は出来る限り削除してほしいと考えていて、メーカーにチメロサールの減量、除去あるいは代替品開発についていっそうの努力を要請するとともに今後もその進捗状況につき聴取する機会を設ける」というものであった。
 小児科学会の見解は、私たちの要望に正面から答える内容とはなっていないので、これを機会に疑問点を質するなど意見を交換する必要がある。それとあわせて、要望の趣旨を実現するために厚生労働省をはじめ関係者への働きかけを強めていきたい。

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