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 有効性・安全性に疑問のある薬を医療現場から排除するためには、そのようなあやしい薬を作らせないと同時に、使わない、という機能が働くことも重要です。
 そのために薬事委員会が果たすべき役割は大きいといえます。薬事委員会はその医療機関で使用する医薬品の採否を決定するところだからです。当然、病院での採用薬を審議する際には、薬の経済効果だけでなく、効果や安全性まで厳しくチェックして採否を決めるのが本来の薬事委員会の役割ではないでしょうか。ところが、どうもそうではないらしいことが、今回の議事録開示請求により明らかになってきました。
 2001年4月に国立大学附属病院・国立病院計30ヵ所に薬事委員会議事録の開示請求を行いました。前号では、一部施設で開示手続き途中段階での結果概要を、情報公開度の点と議論の内容についてご報告しました。その後30病院すべての薬事委員会議事録入手が完了しましたので、その分析結果、特に議事内容についてご報告します。
 まず1回の薬事委員会にかける時間は、15分から2時間と施設によりばらついていました。また審議薬剤数も、1回会議あたり数個の場合もあれば1回に22薬剤を審議しているところもあるなど、さまざまでした。時間と審議薬剤数だけでは一概には言えませんが、審議内容には採用薬の採否決定以外の事項もあることから考えると、十分時間をかけて採用薬の審議がつくされているとは言い難い状況が見えました。審議内容の質については、採用薬審議のための添付資料からも同様のことが言えます。薬剤の審議資料として添付されているのは、薬のパンフレットや添付文書のコピーなどが中心で、有効性や安全性を点検するための原著論文が添付されているところは、1、2の国立大学附属病院程度でした。薬事委員会が薬の有効性・安全性をチェックするという機能においては、形骸化している状況は明らかです。薬事委員会の本来あるべき姿を問い直す必要がありそうです。

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