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 医薬品・治療研究会とEBMビジランス研究所の「う歯予防を目的としたフッ素の有効性と危険性に関する文献調査研究報告書」を受けて、12月22日の薬害オンブズパースン会議で検討した結果、水道水へのフッ素添加は実施しない方がよい、との結論に達した。

1 有効性
 現存する調査からは、フッ素添加によってう歯の多少の減少は認められる。ただ、近年のう歯の減少傾向はフッ素非添加の国においても顕著に認められ、フッ素添加の貢献度は著しく減少してきている。

2 危険性
[1]う歯のない子を1人増やすためのフッ素添加が、1人〜4人の美容上問題になる斑状歯を増やすことになると考えられる。
[2]水道水へのフッ素添加による骨折の増加は明瞭ではないが、骨粗鬆症の予防的治療として使用したフッ素のプラシーボを対象としたランダム化比較試験のシステマティック・レビューにおいて、2年後以降の骨痛の増加、4年以降の骨折の増加、4年以降の胃腸障害の増加が認められ、有益な作用は全く認められなかった。
[3] 少なくとも2つの疫学調査において、20歳未満の男性の骨肉腫が増加することが示唆され、少なくとも1つの動物実験でその関連が指摘されている。他の部位の 癌についても関連性は否定し得ない。
[4] ダウン症の発生については、少なくとも3件の関連を示唆する疫学的調査がある。また、その関連の可能性を否定できるほどの質のよい調査は実施されていない。
[5] 疫学調査からは死亡率を増加させる可能性も否定し得ないが、その調査と同等以上の質の調査が実施されていないので、なお確実かどうかに関しては結論が出ていない。動物実験の結果では、死亡率を増加させるという結果は出ていないが、現在 までに利用できた実験は1件でしかない。今後なお検討を要する。

3 総合評価
 フッ素添加によって得られる利益はう歯のわずかな減少であり、斑状歯の増加等危険性の方が大きい。

用語説明
フッ素添加問題…現在、水道水にフッ素を添加して虫歯(う歯)を予防することが検討されている。しかし、フッ素による斑状歯発生の他、ダウン症との関係も疑われており、水道水への添加には法律上の問題点もある。

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