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1 飲んでもいいの?
 正露丸等クレオソート製剤は、日露戦争の頃から使用されてきて有害事例の報告が少ないことから有効安全な薬であると思われているようですが、実は、「正露丸等クレオソート製剤の販売中止などを求める要望書」で指摘したように大変問題がある薬です。
 実際、正露丸(大幸薬品)の添付文書には、「皮膚に付着したらせっけん及び湯を使ってよく洗ってください」と書かれています。絶対に〇〇しないで下さい、という注意も多いのです。
 そして、現在では、これらクレオソート製剤に代わる下痢止め薬がいくらでもあります。
 さらに、下痢の多くは、腸管内に停滞している有毒物質等を排除しようとする体の防御反応でたいていは原因物質が除かれると自然に治りますし、細菌性の急性下痢などはむしろ止めるべきではありませんから、そもそも下痢止め薬を飲むかどうかから考えることが必要なように思います。

2 調査と要望
 薬害オンブズパースン会議は、正露丸等クレオソート製剤に関するTIPの報告書と、養護教諭と学校薬剤師の方々にご協力をいただいた正露丸等クレオソート製剤についてのアンケート(一月実施)をふまえて、一月三一日、販売中止などを求める要望書を厚生省と大幸薬品を含め製薬企業一九社に提出しました。

3 厚生省の対応
 私たちは、厚生省に、胃腸薬の製造(輸入)承認基準」からクレオソートを削除することを求めました。
 厚生省は、これを受け、調査し問題があれば指導するとのことです。ただ、私たちが引用した事例(常用量の約4倍を使用した例)をいかにも特殊な事例と評価しているようです。
 しかし、一般用医薬品は医療用医薬品の半量であることが多く、医療用医薬品では倍量使用で致死的な結果が生じる薬剤は危なくて普通使いませんから、常用量の2〜4倍が中毒量であること(安全域の狭さ)は大変なことなのです。

4 大幸薬品の対応
 大幸薬品は、薬局に「薬害オンブズパースン会議の要望について」という文書を流し販売継続を表明しました。
 大幸薬品の主張は死亡例報告がないことが根拠のようですが、一般用医薬品では副作用の把握が難しく死亡例が報告されることはあまり考えられません。また、下痢の症状があって服薬した消費者が腸の機能障害等を副作用として把握することは困難ですから、報告がないから安全ということにはなりません。

 このような状況ですから、私たちは、さら今後も正露丸等クレオソート製剤を問題にしていかなければなりません。ご支援宜しくお願いします。
以 上

正露丸要望書要旨

要望
1 厚生省に対し、「胃腸薬の製造(輸入)承認基準」からクレオ ソートを削除することを求めます。
2 大幸薬品株式会社他クレオソート製剤製造・販売会社に対し、正露丸等クレオソート製剤の販売中止を求めます。

理由
1 クレオソートは、[1]高濃度で細胞を傷害し、[2]強い腐食性があり、しかも解毒薬がなく、[3]劇薬に指定されていて、[4]ヒトに対する発がん性を否定できない性質の薬剤です。
2 動物実験の結果からヒトの場合の中毒量を推定すれば常用量の約2〜4倍であり、実際、常用量の約4倍の量を服薬し、腸管を切除した症例が報告されています。
3 大幸薬品が示した正露丸の臨床試験は、正露丸を投与した人だけを対象に評価していて、正露丸を投与しないグループとの比較をしていないので、有効性の証明にはなっていません
4 養護教諭・学校薬剤師に「正露丸等クレオソート製剤についてのアンケート」から未だに4分の1の小学校・中学校で正露丸が使用されていることなどが判明しました。
5 この問題の背景には、一般用医薬品の承認及び再評価システムの問題があります。

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