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 薬害オンブズパースンと医薬品・治療研究会では、ベロテックエロゾルの危険性を明らかにし、広く社会に訴えてきました。1997年6月以来、ベロテックエロゾルの使用量は半減し、喘息死は40%減少しました。
 ところが、ベーリンガーインゲルハイム社(ベ社)は、ベロテックエロゾルを中止するどころか、1999年8月2日、1回の噴射量が半分の新製剤を発売したのです。1噴射 0.2mgが0.1mgになりましたが、1回1噴射を1回2噴射としたので、1回使用量も1日使用量もこれまでとは変わりません。だから危険性も変わりはないはずです。そこで、どんな臨床試験を根拠として承認されたのか知るため、医薬品・治療研究会は、その根拠論文を9月14日べ社に請求しました。
 ベ社の回答は「ベロテックエロゾルの有効性と安全性に関する貴会の評価については、科学的な観点から疑問を抱かざるを得ません。したがって、今回の資料提供は差し控えさせて頂きます。」というものでした。
 このような情報提供拒否は、薬事法に違反しています。罰則規定がない努力規定ですが、少なくともその趣旨を逸脱しています。また日本の企業間の取り決めや、国際的製薬団体の倫理コード「宣伝上の主張や使用方法の根拠データは医療従事者に提供しなければならない」にも違反しています。承認根拠論文の廃止とあいまって、情報開示拒否の蔓延の危険な兆候でないか注意が必要です。
 11月1日、厚生省と製薬工業協会にベ社に対する指導、警告を行うよう求め、対応を待っていました。12月3日付けでべ社から「科学的に公正な評価をされることを今一度期待して、ご要望の学術資料をお届けすることに致しました」と多数の資料が届きました。ただし、要望した肝心の資料は公表準備中とのことで送付されませんでした。

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