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B型肝炎ワクチンの定期接種化等に反対する意見書を提出

2016-05-12

 厚生労働省は、2016(平成28)年4月13日、B型肝炎ワクチンを定期接種化すること等を内容とする政省令の改正案を作成し、これに対する意見(パブリックコメント)募集を開始しました。

 これに対し、当会議は、以下の内容の意見書を提出しました。

意見の趣旨
1 B型肝炎ワクチンの定期接種化は実施するべきではない
2 B型肝炎及びB型肝炎ワクチンの更なる調査が必要である
3 国はB型肝炎及びB型肝炎ワクチンについての正確な情報を提供すべきである


意見の理由
1 ワクチンの定期接種化に必要なもの−検討の視点−

 ワクチンが定期接種化されると、法律(予防接種法)によって接種の努力義務が課されるため、接種が半ば強制され、任意接種の場合と比べると接種者数は大幅に増えます。
 このように定期接種化の影響はとても大きいため、ワクチンの定期接種化については、そのワクチンに高い安全性と有効性があるといえるかどうか、また、定期接種化しなければならない程の公衆衛生上の必要性があるかどうか、という視点から検討する必要があります。

2 B型肝炎ワクチンの安全性と有効性

 B型肝炎ワクチンは世界各国で長年使用されています。このため、安全性には問題がないとの声が多いですが、日本国内における新生児(今回の定期接種化の対象者)に対する安全性を示すデータは少なく、今後検討が必要との指摘もあり、高い安全性があるといえるかは疑問です。
 また、複数あるB型肝炎ウイルスの遺伝子型に対して、市販のB型肝炎ワクチンが効果を発揮できるかどうかについての明確なエビデンスはないため、高い有効性があるとも言い切れません。

3 定期接種化しなければならない公衆衛生上の必要性

 国は、1986(昭和61)年から母子感染防止事業(感染の危険性のある母親から生まれる子どもに対するB型肝炎ワクチンの接種費用の公的助成)を開始しましたが、これによって5歳未満の子どもの感染者(キャリア)数は大幅に減っています。このため、現時点で定期接種化しなければならない必要性があるのかは相当疑問です。
 今回の定期接種化の主たる目的の一つに、母子感染防止事業では防止できない感染経路(水平感染)の防止を挙げていますが、どの程度の接触があれば感染するのかははっきりしていません。また、B型肝炎ウイルスに感染したとしてもその多くは肝がんや肝硬変などの重い病気になることがないという事実も看過できません。
 
4 結論

 以上を踏まえると、現時点でB型肝炎ワクチンについては定期接種化する必要はなく、むしろ未だ明らかとされていない点について調査を行うことが先決と考えます。また、ワクチン行政には正確な情報が提供されることが大前提ですから、国はB型肝炎とB型肝炎ワクチンについて、正確な情報を提供するよう努めるべきです。