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医療用医薬品の一般消費者向け直接広告(DTC広告)に関する意見書提出

2011-03-11

 2011年3月11日付で、内閣総理大臣、厚生労働大臣、特命担当(行政刷新・消費者)大臣、消費者委員会委員長あてに「医療用医薬品の一般消費者向け直接広告(DTC広告)に関する意見書」を提出しました。

 医師の処方せんが必要な「医療用医薬品」について日本では、一般消費者に向けて直接広告宣伝を行ってはいけないことになっています(厚生労働省による行政指導)。
 このような医療用医薬品の一般消費者向け広告のことをDTC広告(Direct to Consumer広告)と呼びますが、DTC広告の中でも「疾病啓発型広告」は、ある症状をあげて「それは実は病気なのです」と病気の認識を持たせ、「お医者さんに相談しましょう」とそれを治療できる医薬品があるということを示すタイプの広告で、具体的な医薬品名が出てこないため現在の行政指導による広告規制の対象とはなりません。そうした疾病啓発型広告は、2000年頃から多くの製薬企業が行うようになっています。
 DTC広告は、製薬企業によるものであるから営利目的であり、偏った情報提供となる危険性が高く、広告で情報を得た一般消費者が医師に対して特定の薬の処方を求めるなど、医薬品の適正使用を阻害するおそれがあります。そうした懸念から医薬品のDTC広告を認めているのはごく一部の国に過ぎず、基本的には認めないのが世界の潮流です。
 しかしながら行政刷新会議は、こうした世界の潮流に反し、規制・制度改革において、医薬品等適正広告基準による医療用医薬品等の広告の制限を撤廃しようとしています。
 薬害オンブズパースン会議は、このような規制緩和に反対します。また、現在は行政指導で行っているDTC広告の規制を、法律(薬事法)によるしっかりとした規制へと変えた上で、一般消費者に対しては、営利目的の企業広告を通じた情報提供ではなく公的機関を通じた公正な医薬品情報を提供するしくみをつくるべきだと提言します。

提出した意見の趣旨は以下の通りです。
1 行政刷新会議が提案する医薬品の広告規制の緩和に反対する。
2 消費者に対する医療用医薬品の直接広告は、その態様を問わず規制するため、薬事法を改正すべきである。  
3 一般消費者が医薬品に関する正確な情報を入手できるようにするため、医薬専門家や患者等で構成される情報提供機関を創設すべきである。
4 日本国内におけるDTC広告の実態を把握するための研究班を設置すべきである。