2002年10月11日
厚生労働大臣 坂口 力 殿
ファイザー製薬株式会社 代表取締役 アラン・B・ブーツ殿


アジスロマイシン水和物の他剤代替可能な製剤は
製造・販売中止し、承認取消を求める要望書


 薬害オンブズパースン会議        
代表 鈴 木 利 廣    
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第1 要望の趣旨
 私たちは,今後の重篤な副作用被害を防止するため,他剤代替が可能なアジスロマイシン水和物製剤であるジスロマック細粒小児用,ジスロマックカプセル小児用100mg,ジスロマック錠250mgの製造販売を中止し,承認を取り消すことを要望します。


第2 要望の理由
1 ご承知のように,アジスロマイシン水和物製剤の副作用として,本年5月までに,重症型薬疹であるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)が21例,中毒性表皮壊死症(TEN)が1例,ショックが25例報告され,このことについて,厚生労働省は5月に「医薬品・医療用具安全性情報」177号を出して,注意を喚起しています。そして,「使用上の注意」には,「(これらの症状が)あらわれた場合には,服用を中止し,ただちに医師に連絡すること」などを「事前に患者に対して指導すること」などが追加されました。

2  しかし,私たちは,このような安全対策では重篤な副作用被害を防止できないと考えます。
 改訂された「使用上の注意」にも,「本剤は組織内半減期が長いことから,投与終了数日後においても副作用が発現する可能性がある」と記され,「医薬品・医療用具安全性情報」177号には,「本剤は,組織内半減期が長いことから,1日1回3日間の投与で約7日間薬物濃度が維持されるという特徴がある」,また「SJS,TENの症例を見ると,本剤の投与中または投与終了後1週間以内に発現している」と記されています。
 現在のところSJS,TENのような重症型薬疹を予知・予防する法はなく,治療も「薬疹に対しては被疑薬の投与を中止することが最も重要で最良の治療法」と言われています。
 ところが,アジスロマイシン水和物の場合,異常に気づいて投与を中止しても,薬物濃度が維持されることから,すでに手遅れです。

3  従って,死亡の危険もある重症型薬疹のリスクを回避するためには,アジスロマイシン水和物製剤の使用を控えることしかなく,本剤でなければ治療できないような疾患に限って使用するようにすべきです。
 本剤の適応症のうち,“進行したHIV感染者における播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療”以外の疾患は,半減期が長くない他のマクロライド剤やテトラサイクリン剤など多くの薬剤が適応となっていますから,それらを使用すればよく,本剤が是非必要であるという理由は見出せません。

4  このことから,私たちは,本剤でなければ治療できないと考えられる“進行したHIV感染者における播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療”が適応であるジスロマック錠600mgを除き,他剤代替が可能なジスロマック細粒小児用,ジスロマックカプセル小児用100mg,ジスロマック錠250mgの製造販売を中止し,承認を取り消すことを要望します。

 ご回答は,文書にて,10月末日までに当会議宛にいただきたく,何卒よろしくお願い致します。


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