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 98年11月8日、KDDホール(東京)にて、薬害オンブズパースン会議発足時から取り組んできた喘息薬ベロテックエロゾル問題をテーマに一周年記念シンポジウム「喘息薬・ベロテックエロゾルは安全か」を開催した。
 まずはベロテックエロゾル(以下ベロテック)の危険性を世界で初めて疫学研究によって明らかにしたジュリアン・クレイン氏(ニュージーランド、ウェリントン大学)が調査結果を中心に報告。ニュージーランドでは低酸素状態で使用すると心臓死の危険が高まるなどの研究報告を基にベロテックを保険対象から外し、その結果ベロテックの使用量と喘息死数が激減した。ついで、浜六郎氏(薬害オンブズパースン)が日本の状況について報告。薬害オンブズパースン会議などが指摘してからベロテックの使用量が半減し、喘息死亡率はそれ以前の約60
%に減少したことを報告(詳細は本誌 4ページ)。勝沼俊雄氏(国立小児病院アレルギー科医)は、基礎実験データをもとにβ2刺激剤の問題点を指摘した。
 上記のような情報は、今まで一般の喘息患者に対してはほとんど公開されてこなかった。ベロテックを使用する患者たちがその使用を再考する際の貴重な情報を公開した点で、本シンポジウムは非常に有意義であったといえよう。これを機に、ベロテックのリスクを回避するための冷静な判断を、患者ならびに医療者がなされることを願ってやまない。

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