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9月8日、タイアップ仙台は脳循環・代謝改善剤に関する住民訴訟を仙台地方裁判所に提起しました。
1. タイアップ仙台、住民訴訟を提起
住民訴訟とは、地方自治体が違法な行為を行った際、一定の要件の下で、その住民が地方自治体に代わって、第三者に金銭の返還等を求める裁判のことを言います。今回タイアップ仙台では、情報公開請求により、[1]仙台市立病院において、承認取消になった脳代謝改善剤の購入代金(過去3年分)を調査し、その上で、[2]住民監査請求により、仙台市長に対し、販売業者に対して購入代金の返還と承認取消になっていない薬のうち有効性に疑問のある薬についての購入停止を求めました。そして、これが却下されたので、今回の提訴に至ったものです。
今後、タイアップ東京などでも同様の手続を採る方向で準備しています。

2. 住民訴訟では何を目的としているか
住民訴訟の目的は、[1]購入代金の返還と、[2]有効性に疑問のある類似薬の購入停止です。

i 購入代金の返還
今回承認取消となった薬は、有効性がなかったわけですから、効かない薬に対し仙台市立病院は粛々と代金を支払い続けたことになります。もちろん仙台市立病院は効かないことを知っていれば薬を購入するはずもありませんから、このような場合は取引を解除して、代金の返還を求めることができます(瑕疵担保、あるいは錯誤といいます)。
なお、仙台市立病院は健康保険組合等から購入品目に応じて給付を受けていますが、これ自体も本来返還すべきものであり、購入代金を支払ったという仙台市が被った損害に影響を与えるものではありません。

ii 有効性に疑問のある類似薬の購入停止
今回取消になったアバン等の類似薬のうち、これらの薬と同様の方法による臨床試験しかなされていない薬については、やはり有効性がない疑いが高いと言えます。そこで、将来の損害発生を防ぐため、仙台市に対しこれらの類似薬に関する購入停止を求めました。

3. 住民訴訟の意義
住民訴訟は、違法な公金支出を防止し、医療財政の悪化を防ぐというのが直接的な効果です。しかし、薬の承認制度は、薬が市場に出回るかどうかを決するものであり、この制度の充実こそが薬害発生防止に不可欠です。そのため、オンブズパースン会議では、この裁判を、薬の承認制度の非科学性、非客観性を告発し、これを改善するための一里塚と捉え、危険な薬・不要な薬を市場から排除できるようなシステムを確立したいと考えています。また、医療機関が効果に疑問がある薬を大量に使用する実態も改善できればと考えています。
今後の公判日程については、随時お知らせしたいと思っております。是非ご支援下さい。

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