閉じる

 今年の二月以来、私たちは糖尿病治療薬として昨年三月から発売されているノスカール(トログリタゾン)を取り上げ、その危険性について警告しています。ノスカールの何が問題なのかを簡単に整理して置きます。

1、重大な副作用
発売約一年の間に、この薬による副作用で九人の死者を出し、一一〇人の重症肝障害患者が出ています。病気を治すための薬によって死亡するなどということは例え一人でもあってはならないというのに、この薬では既に九人も死亡しているのです。

2、副作用拡大の恐れ
しかも、この肝障害の発生原因は、この薬が本来的に持っているアポトーシス(細胞・組織破壊)惹起の性質に由来するので はないかと疑われています。もしそうであるなら、報じられている副作用はこの薬を使う全ての人に起こる可能性があるということですし、更に、肝臓に次いでこの薬の集積値の高いことが明らかになっている腎臓・副腎などにも将来問題が起こってくる 可能性を否定出来ないことになります。

3、公開されない情報
また、これ以外の副作用として、試験段階では原因不明の浮腫の発生が報告され、更に糖尿病治療では重大な意味を持つ肥満の促進の可能性も指摘されています。浮腫の方は、あるいは前項の腎障害の可能性と関係があるのかも知れませんが、私たちの繰り返しての要求にも関わらずデータの全面公開がされていない現状では、
何とも言いようがありません。

最後に最も重大なのは、これだけ色々な問題が指摘されているのに、その薬についての情報の全面公開が未だになされていないということです。「意味がある情報とは思わなかった」という理由で、汚染製剤上陸を示す重大な情報を公表しなかった厚生省の誤りにより拡大した薬害エイズの教訓を、まだ厚生省は学んでいないのです。

閉じる