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● ブリッジング戦略による承認取得

 アラバ(一般名レフルノミド)は、関節リウマチを適応とする抗リウマチ薬(DMARD:炎症自体を抑える作用はもたないが、関節リウマチの免疫異常を修飾することによって、関節リウマチの活動性をコントロールする薬剤)であり、免疫抑制剤である。

 日本では、98年8月の医薬安全局長通知により、承認申請における外国臨床データの外挿(ブリッジング:一定の条件の下で、外国で実施された臨床試験のデータを日本人における有効性及び安全性の評価を行うための資料として用いること)が認められたが、アラバは、このブリッジングを利用して、日本人での第III相試験を行うことなく、03年4月に承認された。日本人患者における使用経験が少ないことから、市販後一定期間の全例調査が承認条件とされた。

● 日本における間質性肺炎の発生

 先に承認されていた欧米ではアラバによる間質性肺炎はまれであるとされていたが、03年9月の販売開始から間もない04年1月、アラバによる間質性肺炎の副作用が報告され、4か月間で5人が死亡していることが明らかとなった。日本人での第III相試験を省略したブリッジングによるスピード承認で、致死的な間質性肺炎の副作用が多発した構図は、やはり第III相試験を行わずにスピード承認されたイレッサの事例を想起させるものだった。

● アラバの問題点

 アラバは、欧米での市販後、重篤な血液障害、皮膚症状、重篤な肝障害によって、添付文書改訂などの注意喚起が繰り返され、03年10月には、命を脅かす肝毒性・感染症について、米国で黒枠警告を追加する添付文書改訂が行われていた。一方で、当時関節リウマチの治療薬としては、標準薬剤であるメトトレキサートはじめ、アラバと効果が同等でより安全な薬剤が複数存在していた。

 そこで、当会議は、04年8月、アラバについて、一般臨床使用を停止し臨床試験に使用を限定すること、安全性情報を全面的に公開することなどを求める要望書を、厚生労働省及びアベンティスファーマ社に提出した。アベンティスファーマ社はこれに対する回答書(04年11月)で、累積投与患者数と累積間質性肺炎発現症例数をみるとその発現比率は低下しているなどと反論したが、その発現比率1%自体が高い数値であるし、またこれは正確な間質性肺炎発現率を示すものではないと考えられたことなどから、当会議は反論の意見書(05年5月)を提出して一般臨床使用の停止等を重ねて求めた。サノフィ・アベンティス社はその後も間質性肺炎発症率は低下傾向にあるなどと主張したが、最後まで、新規発症率を算出するための分母となる新規処方件数などのデータは示されなかった。

● その後

 現在のアラバの添付文書(第15版)は、赤枠の警告欄と禁忌欄が1ページ目の半分以上のスペースを占めている。日本リウマチ学会による「関節リウマチ診療ガイドライン2014」では、日本人における副作用発現のリスクを十分に勘案し慎重に投与するとして、条件付きの弱い推奨としている。

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