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 久々にフルタイムで病院薬剤師に復帰しました。楽しくもあり、責任重大な仕事を再認識もする日々です。

 そして、考えさせられた「よい病院」とは?

 世間一般では、大学病院など大きな病院=よい病院という感覚だと思います。実は医療者側も、概ね患者さんと同じ考えの人が多いです。

 いくつかの病院で働いてきてわたし自身が感じたのは、よい病院とは「多職種同士の連携が充実している」病院だと思います。

 例えば、熱心で優秀な医師がいたとしても、一人の人間です。正義感からの暴走もあります。時には勘違いもします。すべての医療を網羅するのは困難です。そんな時に、看護師、薬剤師、医療スタッフと話し合い、時には治療の修正を行ったりします。それが院内で自然に出来ている所は、信頼できる病院と思います。

 すべてとは言いませんが、病院でありがちなのが、ピラミッド型の組織です。医師がいて医療スタッフがその下にいるという構図です。そして、そのピラミッド型は時に「裸の王様化」します。医師の判断が明らかに暴走していると思っても、周りが言えない空気になってしまいます。そうなってしまうと、患者にとってよい医療は成り立ちません。

 大切なのは、患者さんがどうしたいか? です。患者さんに対しては科学的根拠に基づいた正しい情報をお伝えしなくてはいけません。しかし、医療ではあいまいなことが多くあります。それも含めて患者さんへはお話しすべきです。そして、医療者側は患者さんにとって一番最適な治療は何なのか話し合います。

 当たり前のようでそうではない医療があふれている中で、患者さんが自分で見極めてよい病院を探してほしいと思います。

 また医療者側も今までの思い込みを取っ払って、患者さん一番の医療に変わってほしいと思っています。

 話はCovid−19へ移りますが、安倍総理が一押しのアビガンについて、薬害オンブズパースンはこれまで2度にわたり意見書を書きました。現時点では、5月中の承認どころか安全性もよくわからない、有効性も見えてこない状況となっています。

 世界中でCovid−19のパンデミックが起こっている中で、病院として何とか患者さんを助けたい、という思いは解ります。しかし、こういうときこそ、エビデンスに基づいた医療を冷静に判断するときであり、そして、よい病院とそうでない病院がよくわかるのではないかと思います。患者さんは入院した際、正しい治療の情報、たとえば、メリットばかりでなく、デメリットも説明を受けたか、患者を一番に考えた医療をしてくれたかなど、病院を厳しく評価してほしいです。

 最近、東京女子医大で数百人の看護師が退職する恐れがあるというニュースが舞い込んできました。この記事を書きながら、ボーナスがなくなったからやめるという単純な問題だけではなく、根底には、ピラミッドの闇があるような気がしてなりません。

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