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 当会議は2020年1月21日付で、抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の承認取り消しと先駆け審査指定制度の見直しを求める再要望書を、厚生労働省と製造販売業者(塩野義製薬)に送付しました。

 左の図を見ていただければ、この数値の異常さがわかると思います。抗インフルエンザ薬使用後の死亡症例は例年10人前後(平均10.4人)だったのに昨シーズン(2018/19)は、5.3倍に急増しているのです。特に昨シーズンは使った患者数が減っているのに死者数は逆に増えています。

 なぜこんなことが起きたのか。当会議では、新薬ゾフルーザが、昨シーズン推定で全国の427万人に使われ、一躍ベストセラー薬になったことが原因と考えています。

 その証拠に、2010/11シーズン以降の9シーズンについて、推定使用患者100万人あたりの副作用報告頻度を計算してみると、ゾフルーザを除く4種類の抗インフルエンザ薬(タミフルとその後発品、イナビル、リレンザ、ラピアクタ)では、重篤副作用症例の報告頻度が21・4なのに対し、ゾフルーザは約4倍の85.2、死亡症例の報告頻度は他の4剤が1.3なのに対し、ゾフルーザは約7倍の9.1と、異常に高いことがわかります。

 もちろん他の抗インフルエンザ薬にも副作用の懸念がありますので、自然の経過でほとんど治癒するインフルエンザという病気に抗インフルエンザ薬を使用することをお勧めしません。とはいえ、特にゾフルーザについては、直ちに安全性の再点検を行うべきだと考えます。

 というのも、ゾフルーザは、日本発の新薬を、短い審査期間で承認し世界に向けて売り出すという趣旨で試験的に導入された「先駆け審査指定制度」で承認された第1弾の薬の一つだからです。短い審査期間ではわからなかった「出血」と「アナフィラキシー・ショック」という重大な副作用が市販後に見つかり、添付文書の改訂が行われています。そんな中、昨シーズン多数の患者に使われたことで、新たに安全性への重大な懸念が明確になったわけです。厚労省と製薬企業は、早急に対応すべきだと考えます。

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