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 全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が、毎年、薬害根絶デーの日に行っている文科省と厚労省との交渉の要望書の前文には、「私たちは、1999年8月24日に厚生労働省敷地内に『薬害根絶誓いの碑』が建立されて以来、毎年この日の前後を『薬害根絶デー』と定め、被害者が一堂に会し、多発している薬害の根絶を目指して、行政との話し合いをすすめています」と書いています。
 
 この碑がなぜできたのかを知らない方が多くなっている中、今年実施された20周年薬害根絶デー前夜集会には、薬害エイズの遺族が招かれ、1996年HIV薬害訴訟和解後、原告団遺族が、「亡くなった家族の死を無駄にしないでほしい。薬害を二度と起こさないでほしい」と願い、「国は二度と悲惨な薬害を起こさないことを国民に対して誓ってほしい」との思いから、その証としてこの碑を建立された経緯を話されました。

 薬被連の結成は、1999年10月22日で、その日に文科省と厚労省との初めての交渉が行われ、次の日には第一回薬害根絶フォーラムが実施されました。

 当初、薬被連への参加は6団体。それぞれの目標を持っている団体が集まった合議体として、一致する目標に向けて、ゆっくりとした歩みの中で取り組んできました。

 通常、仲間が増えることはうれしいことなのですが、薬被連にとっては、薬害被害者団体が増えることを意味し、決して喜べることではありません。最近では、HPV訴訟の団体も薬被連に加わり、現在、10薬害11団体となっています。

 初めての文科省交渉時には、職員が薬害を薬物乱用と間違うなど「薬害」についての認識が全くなかったといっても過言ではありません。

 しかし、地道な交渉を続けてきたことから、大学の医療系学部への薬害当事者の講師派遣による講義が広がるとともに、全国の中学校1万校以上に、「薬害を学ぼう」の副読本が配布されて、少しずつ薬害の授業も実施されてきています。

 一方、厚労省交渉時においては、医薬品のネット販売などの実施について、薬害当事者としてノーモア薬害のために対面販売の必要性を強く訴えた時も含め、なかなか行政の壁は厚いと感じることもありましたが、厚労省に対して、薬害についての認識を高めるということにおいては一定の成果を出していると思います。

 薬害根絶のためには、私自身、とても教育が重要であるという認識を持っています。

 派遣された大学の講義において、なぜ薬害が起こるのかという時に、「医療的良心や職業的良心の欠如」が起こした人災であると訴えていますが、講義を聞いた各地の大学の医療従事者を目指す学生たちにとって、薬害当事者の講義はとても有意義なこととして受け止められています。

 学生の感想文からも「初めて当事者の話が聞くことができた。」「被害の重要性を知り、これから目指す医療への道につくのにとても有意義だった」等が寄せられています。

 また、実施した大学の指導者も、薬害当事者の声を直接聞く機会はとても重要なことだという認識をされてきています。

 最後に、これからの具体的目標(夢の実現)としては、薬害資料館の設立、第三者監視組織の設営などがあげられますが、教科書の索引のところに「薬害」という言葉が記載されることも目標の一つです。

 今後とも、薬被連にご支援、ご協力等をお願いいたします。

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