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● サリドマイド薬害
 サリドマイドは、1950年代に催眠薬や胃腸薬として販売され、妊婦が服用すると胎児に奇形が生じる副作用のため、日本では1962年に販売中止となった薬である。世界が初めて経験した大規模薬害事件であり、この被害の反省から、医薬品承認において有効性・安全性の科学的に厳密な証明が要求されるようになり、また副作用報告が制度化された(サリドマイド薬害事件については、本紙42号「薬害事件ファイル .汽螢疋泪ぅ鼻彁仮函法

● サリドマイドの「復活」
 このような歴史的薬害事件の「加害薬」として、医薬品としての生命は絶たれたものと思われていたサリドマイドだが、その後、海外で新たな薬効が研究されて、ブラジルなどでハンセン病の治療薬として使用されるようになり、さらに、エイズやがんなどに対する有効性を示唆する研究報告が現れたことから、サリドマイドは、欧米を含む多くの国で使用されるようになった。

● 個人輸入による国内使用の広がり
 そうした中で、日本でもサリドマイドが個人輸入の方法で輸入され、骨髄腫などの悪性腫瘍の治療に使用されるようになり、2001年度には輸入量が15万錠に及ぶことが明らかになった。

 日本では、未承認の医薬品を業として輸入することは法律上禁止されているが(当時は薬事法。現行薬機法でも同じ)、輸入そのものは禁止されておらず、患者個人による自己使用目的の輸入は可能である。さらに、運用において、医師が患者に処方する目的で輸入する「医師個人用」の輸入も認められており(これは本来は業としての輸入というべきものである)、こうした患者や医師の個人輸入には輸入代行業者が関与していた。輸入代行業者は、インターネットサイトで輸入可能な医薬品の品目を紹介し、輸入代行の依頼を受け付けており、その実態は輸入販売業といってもよいものであった。

 サリドマイドの「復活」は、こうした未承認薬の規制の問題点も浮き彫りにした。

● 今後も続く取り組み
 さらに、難病患者の治療薬アクセスの論点も関係するきわめて難しい問題であったが、ブラジルではサリドマイド児の出生も報告されており、日本での新たな被害児の発生を防ぐために早急に対策を取る必要があった。当会議は、輸入を登録許可制とし、輸入目的は臨床試験ないし臨床研究に限るべきとする緊急要望書を2002年10月に厚労大臣に提出した上で、さらに議論を続け、2004年12月には輸入・使用実態把握のための体制整備を求める要望書を提出した。

 サリドマイドは、その後国内製薬会社によって多発性骨髄腫治療薬としての承認申請がなされ、被害児発生防止のための厳格な安全管理措置をとることを条件に、承認された。当会議は、この承認と安全管理手順の内容について、2008年9月にパブリックコメントを提出。以降、2012年、2015年、2018年に、安全管理手順の改訂案に対するパブリックコメントを提出している。改訂は、サリドマイドをより使用しやすくするよう規制緩和に向かっており、今後の改訂に対しても、被害発生防止の立場から監視を続けていく必要がある。

 こうして、薬害防止の観点からあらためてサリドマイドを検討する必要が生じた。

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