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● 調査の端緒

 水道水フッ素化とは、上水道の飲料水にフッ化物を添加することによってむし歯の予防を図るとする公共政策である。

 2001年、日本において学会や厚生省による水道水フッ素化推進の動きが活発化してきたことを受けて、長年にわたって虫歯予防へのフッ化物応用に反対する運動を行ってきた高橋晄正医師(元東京大学医学部講師)から、当会議に対して問題提起があり、調査を開始した。

● 医学的な問題点

 水道水フッ素化の有効性・安全性に関する医学的検討については、医薬品・治療研究会(TIP)およびEBMビジランス研究所(JIP)に調査を委託した。委託に基づく調査研究報告書は、世界で実施された疫学的な調査研究文献を収集し、研究方法のエビデンスレベルを評価した上で、データを分析し、水道水フッ素化の有益性と危険性のバランスを検討したものであった。

 同報告書は、水道水フッ素化の危険性について、“容上問題になる程度の斑状歯の発生、20歳未満の男性の骨肉腫や大人の口腔咽頭癌などの癌を増加させる可能性がある、フッ素がほぼ確実な変異原物質であり、染色体異常誘発物質であることから、ダウン症や奇形、出生異常の可能性も考慮しておく必要がある、け岾慊敢困砲茲譴仍猖肝増加の可能性が否定しえない、ス密度の増加はみられるものの、骨痛・胃腸障害・骨折の増加が認められる、といった問題を指摘した。

 一方で、日本では近年の虫歯減少により、フッ素添加が虫歯減少に貢献する割合(有益性)は著しく減少しているとされた。

 これらの検討から、水道水フッ素化には危険性を上回る有益性はないと結論づけられていた。

● 法律的な問題点

 以上の医学的問題点に関する検討を受けて、当会議は水道水フッ素化の法律的側面を検討し、々餾歐邑◆兵匆餮◆傍約と憲法が保障する健康権を侵害する、 自己決定権を不当に制約するものであり憲法13条に違反する、水道法および水質基準に関する省令は、水道水利用のために天然水に含まれる化学物質の含有量の上限を示したもので、フッ素添加の根拠規定と解することはできない、との結論に至った。

● 意見書の提出と学会の反論

 以上の検討から、2002年5月、水道水フッ素化は行うべきではないとする「水道水へのフッ素添加についての意見書」を厚生労働省へ提出した。これに対して、推進側の「厚生科学研究歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究班」と「日本口腔衛生学会」は、同年7月に「薬害オンブズパースン会議意見書に関する解説」と題する反論書を発表するという異例の行動に出た。しかしその内容は、最も重要な論点である発がん性について、TIP・JIPの委託研究報告書による詳細な分析に対する具体的な反論がないなど、科学的反論としての説得力を欠いていた。

● 水道水フッ素化のその後

 その後も学会等による推進の動きは続いているが、水道水フッ素化を実施するかどうかは、上水道を管理する自治体の判断となる。いくつかの自治体において水道水フッ素化の動きが浮上したが、住民や議員の反対に遭うなどして、実施には至っていない。

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