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 厚生労働省は、2017年10月より、「条件付き早期承認制度」の運用を開始しました。これは、重篤な疾患であって有効な治療方法が乏しく患者数が少ない疾患等を対象とする医薬品で、治験実施が困難あるいは長期間を要する場合に、検証的臨床試験(第形衫彎音邯魁砲寮績を求めることなく、市販後に必要な調査等を実施することを承認条件として製造販売承認を行う制度とされています。 

 新医薬品を承認条件付きで早期に承認する扱いは従来から行われていましたが、その運用には問題も多く、最大の失敗例が肺がん用抗がん剤イレッサでした。イレッサは、承認申請からわずか5か月あまりという異例のスピードで、市販後に第形衫彎音邯海鮗損椶垢襪海箸鮠魴錣望鞠Г気譴泙靴燭、市販直後から間質性肺炎の副作用が多発し、副作用死の報告数は、承認から半年で180人、2年半で557人に及びました。一方で、承認条件とされた第形衫彎音邯海任留簗晋果の証明に失敗しましたが、承認は取り消されませんでした。この事件の反省から、薬害肝炎検証・再発防止委員会最終提言は、承認条件の内容・期間等の明確化、結果の評価とそれに基づく措置の迅速化などを求めていました。

 しかし、今回開始された条件付き早期承認制度では、薬害イレッサ事件の教訓に学んだ制度改善を行っていないばかりか、承認条件として有効性、安全性の確認のために行う市販後の調査はいわゆるリアルワールドデータを活用した調査で足りるとし、検証的臨床試験の実施は必ずしも必要ないとする「超」規制緩和を行っています。

 これは、検証的臨床試験による有効性及び安全性の確認を必須としてきた医薬品承認制度の大原則を覆すものです。リアルワールドデータを利用した手法は、有効性・安全性の確認について検証的臨床試験と同等の信頼性を有することは確認されておらず、海外においても、これをもって検証的臨床試験に代えることは行われていません。リアルワールドデータによる有効性・安全性の確認のみで足りるとするのは明らかに時期尚早であり、非常に危険です。

 これらの問題をふまえ、当会議は、2018年5月29日、厚生労働大臣に対し、「条件付き早期承認制度に関する意見書」を提出しました。

 意見書では、条件付き早期承認制度の運用を直ちに停止し、同様の制度導入は法改正によること、法改正にあたっては、対象医薬品を厳しく限定すること、承認条件において検証的臨床試験の実施を必須とすること、条件の確認期限をできる限り短くすること、条件を満たさなかった場合の効果(承認取消)を明確に定めること、を求めています。

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