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 厚労省研究班による全国疫学調査(「青少年における『疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状』の受療状況に関する全国疫学調査」)については、本紙前号の記事(「『非接種でも副作用と同症状』は大ウソ」)で問題点を指摘しました。その追加分析結果が、2017年4月10日の厚労省審議会で報告されました。

 追加分析は、前回審議会で委員から出された要求に応えて、様々な条件でデータの解析を行ったものでした。HPVワクチン薬害訴訟原告団・弁護団は、前号記事で紹介した弁護団コメントなどの批判をふまえて再審議することなどを求める要望書(2017年1月23日付)を厚生労働大臣及び審議会会長に提出していましたが、今回も調査結果の批判的な検討は全く行われませんでした。  
 
 ただ、追加分析の中で、唯一弁護団コメントを意識したものとして、症状の数ごとにみた期間有訴率の分析がありました。症状が1つしかない症例など「多様な症状」とは言えない症例が含まれてしまうとした弁護団コメントの批判に対して、「症状の数を10以上に限っても、『A群:接種歴なし』の有訴率は、10万人当たり5.3人であり、ゼロではなかった」として、初回結果報告の「HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を有する者が、一 定数存在した」という結論を維持しました。

 しかし、本調査の根本的な問題は、症状数だけではなく、どのような症状がどのように現れている場合に副反応症状と判断するかという定義付けをしないまま、「副反応症状と同様の多様な症状」であるとしている点にあります。たとえ数としては複数の症状が現れていたとしても、HPVワクチン副反応に共通してみられる特徴を備えていないものは、副反応と「同様」の症状とは言えません。

 このことは、研究者自身が認めています。研究班長の祖父江友孝大阪大教授は、審議会で、「私として一 番気になるところは、数のカウントはしています。接種歴なしの人のその分子としての数を出しています。ただ、この人たちが本当に接種歴ありの人で生じていた分子と同じものなのか、同じ性質を持っている人たちなのかということは、こういうアンケート調査、疫学調査ではほとんど限界があって」と述べています。ここまでわかっていながら、非接種者にも副反応と「同様」の症状を有する者が一 定数存在するという結論を取るのは、あまりにも不誠実というほかありません。

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