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 日本製薬工業協会が2015年9月、「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」を改訂すると発表した。承認された効能・効果と、その範囲内の患者を対象にした治療において副次的にもたらされる結果を明確に区別するなどする。また、対談形式の記事体広告についても、一項目を設けている。
 臨床現場の医師に広告が与える影響は極めて大きい。特に対談形式は登場する専門医の評価意見の形をとるため有効とみえ、多用されてきた。抗がん剤イレッサでは、副作用が少ない画期的新薬という宣伝が医師の対談記事などを用いて行われて承認前から期待を集め、副作用に対する警戒心を失わせた。薬害オンブズパースンが刑事告発をした、高血圧治療薬ディオバンをめぐる広告も対談形式だった。
 薬害オンブズパースンでは、10年以上前から広告規制強化の必要性を訴えてきたが、ようやく業界の自主基準が動き出した。
 しかし、あまりに遅い。これが一体どのように機能するのか、作成要領は詳細だが、これを見ていても分からない。広告のあり方が変わったと実感できるような、大きな変革が求められている。運用をしっかりウォッチして意見を出したいと思う。

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