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 2015年4月に食品表示法が施行され、JAS法など3つの法律が一元化され消費者に分かりやすくなったはずの食品表示ですが、現状はますます複雑なものとなってしまいました。

 機能性を表示することができる食品である特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品に加えて、機能性表示食品制度が4月から始まったからです。消費者庁によると、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品です。販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官に届けられたものです。ただし特定保健用食品と異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。」という制度です。

 制度の基本的な考え方は、^汰汗の確保(十分な食経験があること)、機能性の科学的根拠の明確化、F禄仞による事業者把握、事故情報収集、買い上げ調査・収去試験等で事後チェック制度、海外では例のない生鮮食品でも表示を実現の3項目が挙げられています。

 この制度については、検討の段階から消費者団体を中心に反対の声が多く寄せられていました。含有成分だけではその機能性や安全性を判断することは困難です。特に過剰摂取のおそれもあるサプリメント形状の加工食品も含まれることに大きな懸念が寄せられていました。

 5月22日付の消費者庁の公表資料によると、書類審査の上公表されたものが26件、そのうちの19件がサプリメント形状の加工食品となっています。そこで、私が理事を務める全国消費者団体連絡会では、届け出内容を精査し、国及び事業者団体へ意見書を提出しました。 

 有効性の根拠として示されている臨床試験結果が、Pubmedにも収録されていない学術誌に掲載されたもので、査読期間も短く、内容的にも不備の多い論文であるもの、システマティックレビューを行うと「効果がない」とする論文が多い機能性関与成分が、参加人数が少なく質的に低い臨床試験論文により機能性を表示されているもの、食品安全委員会が「安全性が確認できない」とする評価書をまとめようとしていた製品と同じ機能性関与成分の製品が届出されていた等、数々の問題点が指摘されています。

 事後チェック体制といっても、消費者庁幹部は消費者団体との意見交換の席で、競合他社の厳しい監視の目があると発言しました。今後続々と届出が出されることは確実で、その届出内容を一体誰が精査できるのか、大きな課題が残されたままです。トクホの申請には億単位の経費がかかるのに、機能性表示食品の届出は数十万円で済むと言われています。

 表示というものは見て簡単に分からなければ意味はありません。紛らわしい表示が蔓延することを考えると、このままこの制度を続けさせることには大きな疑義があると言わざるを得ません。

(注1)Pubmed(パブメド)…米国国立生物工学情報センター(NCBI)が運営する医学・生物学分野の学術文献検索サイト。現在2500万件もの文献情報が収録されている。
(注2)システマティック・レビュー…ある調査事項(ここでは機能性食品の効果)に関する研究データを網羅的に収集し、それらを統合して評価する研究方法。

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