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 今年の正月休みに「もしドラ」を読みました。アニメキャラの表紙で買うのにちょっと勇気がいるあの本です。「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というのが正式な本の名称です。もう100万部以上売れているようです。

 ドラッカーという経営学の大家が書いた「マネジメント」という本を高校野球の女子マネージャーが読んで甲子園を目指すという青春物語なのですが、アニメ化も決まっているらしく、ふだんビジネス書などを読まない私などが読んでいるのですから、社会現象とまではいかないでしょうがブームになっていることは間違いないでしょう。

 ドラッカーの著作は大変多く、内容も難しいようで、私は断片的な知識しかないのですが、有名な名言に「顧客の創造」というのがあります。「需要はつくるものである」と。これって製薬業界の「病気づくり」と同じですよね。正常値を低く設定して高血圧や動脈硬化の患者数を増やしたり、社会不安障害などのこれまでなかった疾患概念を創造しその治療薬を売るというのは、「需要の創造」そのものです。

 また、「利益は目的ではなく、条件」なんていうフレーズは、あれだけ莫大な利益を上げている製薬会社が「新薬を開発するには莫大な費用がかかる」と言っていることと重なり、製薬業界のトップはみんなドラッカーの愛読者なのだろうと思ってしまいました。そのため、ドラッカーに対しても良いイメージを持っていませんでした。

 ところが「もしドラ」を読んで、ドラッカーという人が単なる経営学者ではなく、社会生態学者などと呼ばれることもあるらしく、組織のマネジメントを通して社会をより良くしていこうという思想の持ち主であるらしいことがわかりました。ドラッカーの「マネジメント」からは単なる組織運営のノウハウ以上のものが得られるのではないかと期待して、さっそくアマゾンで「エッセンシャル版」ともう2冊買ってしまいました。

 ところで、ドラッカーは組織にとっての「顧客」はだれなのかを定義することが大事だと言っています。薬害オンブズパースン会議の「顧客」とは誰なんでしょう?

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