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 「エポジン注シリンジ」は、透析施行中の腎性貧血等を効能効果として承認された薬剤です(販売元は中外製薬(株))。中外製薬は、2009年11月19日、エポジンの効能効果に「治癒切除不能な固形がん患者におけるがん化学療法に伴う貧血」を追加する旨の申請をしました。本年6月23日、厚生労働省医薬食品局審査管理課は、この追加承認申請に関してパブリックコメントの募集を開始したので、当会議は7月26日付けで意見書を提出しました。
 意見の要旨は、追加申請された効能効果について、エポジンの有効性と安全性は未だ確認されていないことから承認を与えるべきではないというものです。
 今回の追加申請にかかる効能効果は、化学療法施行中のがん患者に対する支持療法に位置づけられます。化学療法は、がん患者の生命予後の向上、腫瘍増殖の抑制という目的のために行われるものですから、エポジンの使用によって、患者の生命予後が悪化したり、腫瘍増殖を促進したりすることがあってはいけません。しかし、エポジンには、生命予後の悪化をもたらす原因と考えられている血栓形成促進及び腫瘍増殖促進という、患者にとって極めて大きなリスクがあるとするエビデンスが存在し、かつ、このリスクを適切に回避するための方法は現在も確立していません。この他、有効性を示すデータも不足していること等から、承認申請は認めるべきではないとの意見書を提出しました。
 パブコメには9件の意見(承認すべきとの意見7件、承認すべきでないとの意見2件)が寄せられましたが、厚労省薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、本年9月29日、「承認することは適切でない」との結論をまとめました。これでPMDA、第二部会、分科会のすべてで同様の結論が出たことになります。今後の厚労省の対応が注目されます。

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