閉じる

 皆さんは、「スピン」(spin)という言葉をご存じでしょうか?
 クリケットで、投手が打者を打ち取るのにボールに回転をかける(スピンボール)ことに語源がある言葉で、「回転する」という意味ですが、「情報を都合のいいように解釈して流す」という意味でも使われます。
 臨床試験論文の「抄録」や「考察」の記載などで、「本文」の本来の趣旨を歪めてしまうようなまとめ方をして情報の操作をする場合もスピンと言います。比較臨床試験の主たる評価項目で標準薬と比較してよい結果が出なかったのに、サブグループ解析で差がでたことを、ことさらに強調することなどがスピンの例です。
 最近、スピンが医学論文においてどのくらい行われているのかを定量的に分析した論文が医学雑誌に掲載され、多くの論文でスピンがみられることが明らかになりました。この結果は、私たちがイレッサの問題など日頃の検討の中で感じていることに合致するものでした。
 スピンがプレスリリースなどで行われ、これを鵜呑みにした新聞記事等が掲載されるという現状に強い危機感を覚えています。10月初めにアムステルダムで開催されたSelling Sickness 国際会議でも、スピンも問題性が指摘されていました。
 スピンについては、薬害オンブズパースンのWEBサイトの「注目情報」コーナーでも詳しく紹介しています。是非ご覧ください。
 薬害オンブズパースンでは、スピンをめぐる問題に拘っていきたいと思います。

閉じる