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 テレビCMや電車内で大々的に広告されている特定保健用食品、いわゆるトクホ商品を日常的に口にしている方は多いのではないだろうか。花王のエコナシリーズに多く含まれていた油成分に、発がん性物質になり得る成分が高濃度に含まれていることが判明し、販売停止になったこと(2009年10月)は、記憶に新しいが、エコナを使っていた方も多いのではないだろうか。
 という私も、それらの商品を日常的に口にしていた一人であった。
トクホは、国(消費者庁)により、特定の保健の目的が期待できるとして許可又は承認され、商品上もそのことがロゴマークにより分かりやすく表記されている。
 近時の健康ブームや国の許可を得ているというお墨付きを背景に、トクホは、食品メーカーにより大々的に宣伝され、現在年間6000億円という売り上げを上げるまでに拡大し、品目は900を超えている。
しかし、トクホ商品の有効性、安全性に問題はないのだろうか。エコナシリーズだけの問題であろうか。

 薬害オンブズパースン会議は、2010年3月23日付で、厚生労働省、消費者庁及び消費者委員会に対して、「特定保健用食品制度の廃止を求める要望書」を提出した。
 現在のトクホ商品の有効性、安全性の審査方法には問題があるといわざるを得ないからである。
 すなわち、トクホ商品は、医薬品に比べごく少数のヒトを対象とした臨床試験で、医薬品で言えば「効能」にあたる「健康の維持増進に寄与することが期待できる」旨をうたうことができる。また、安全性のチェックは、3倍量をおおむね1カ月摂取し続けて目に見える害がなければ「安全」とするなど、その審査は医薬品に比べきわめて緩い。また、医薬品に義務付けられている市販後の安全性追跡調査も、トクホに対しては行われていない。しかも、これらの研究データはすべて当該企業によって作成されたものであり、その信頼性確保のための査察制度等は存在しない。
 以上のように、医薬品よりも容易に販売許可が得られるにもかかわらず、国民に誤解を与えるような宣伝が可能であり、安全性チェックが医薬品に比べてきわめて不十分であるというトクホ制度そのものが、医薬品と食品の区別をあいまいにし、真に国民のためになる制度ではないのである。
 あなたが口にしている「トクホ」商品は大丈夫ですか。一度考えていただきたい。

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