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 昨年12月7日、シンポジウム「医薬品行政の改革を考える」が当会議の主催で明治大学ホールにて開催された。
 このシンポジウムは厚労省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討会」において昨年7月31日、公表された「薬害再発防止のための医薬品行政のあり方について〜早期に実施が必要な対策」(中間とりまとめ)をうけて”今度こそ抜本的改革を“の意気込みで開催された。
  *検討会は薬害肝炎全国原告団と厚労大臣との、薬害肝炎事件解決のための基本合意に基づいて設置され、初年度は昨年5月から本年3月まで計12回開催された。
 シンポジウムでは、以下の三題の問題提起をうけた。
(1)「中間とりまとめと薬害防止」
  栗原千絵子氏(「臨床評価」編集スタッフ)
(2)「FDAの薬事規制改革」
  瀬尾隆氏(NPO法人日本医学ジャーナリスト協会副会長)
(3)「NGO活動を踏まえた提言」
  水口真寿美氏(薬害オンブズパースン会議事務局長)
 栗原報告では、薬害防止のための政策提案の前提として、薬害を起こす七つの現状システムの分析を踏まえて、『薬害防止法』について以下の四本の柱を提案した。
(1)薬害監視調査機構の確立
(2)患者・被験者の権利保護法の制定
(3)薬害資料館設置
(4)薬剤疫学の復興・推進
  *詳しくは、「薬害防止法の提案」臨床評価36巻1号173頁、2008年を参照
 その観点から「中間とりまとめ」に対し、人員増強、監視・調査機構、臨床試験、未承認薬の管理等について意見を述べた。
 瀬尾報告では、FDA薬事規制改革の要点について
(1)市販前の医薬品のリスク・ベネフィットの検証から、市販前後にわたる医薬品のライフサイクルを通じたリスク・ベネフィットの評価・管理への移行
(2)安全性にかかわる問題シグナルの迅速な把握と適時対応によって医薬品使用の安全を確保する薬事システムへの転換
(3)上記ミッションを遂行するリーダーシップと組織文化の確立
とまとめ、2007年FDA改革法の以下の五点を紹介した。
 \宿壁充┐諒儿垢魘制する権限
 ∪縮企業に「リスク評価・軽減戦略(REMS)」の策定・実施を義務づける権限
 製薬企業に必要な市販後研究・第諺衫彎音邯海魑遡海鼎韻觚限
 せ堡慮紊琉汰汗監視に要する財源を新たに徴収する権限
 ダ縮企業にすべての臨床試験結果の開示を義務付ける権限
 以上の観点から、日本における市販後の情報蓄積における問題として、データベースの不存在や臨床成績把握が困難である等が指摘された。
  *詳しくは米国アカデミー医学研究所「医薬品の安全確保システム」(株)じほう、2008年を参照
 水口報告では、日本の現状について、承認審査、承認前からの宣伝広告と過熱報道、承認条件の運用について問題点を指摘し、次の三点の対応等を提案した。
(1)審査手続きの透明性を高めるための制度整備
(2)承認審査に関するルールの見直し
(3)臨床試験全体の適性化をはかる制度整備
 市販後安全対策については、情報があるのに積極的に対応をとらない現状に対して、情報公開、監視組織の重要性等を強調した。
 三報告に次いでディスカション「医薬品行政の改革」が別府宏圀氏(医薬品治療研究会代表)のコーディネートで行われたが、紙面の都合上省略させて頂く。
  *なお、前記三報告については当会議にて資料集が発刊されているので、希望者は東京事務局までお問い合わせを。

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