閉じる

■「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討会」は、薬害肝炎訴訟の全国原告団、全国弁護団と厚生労働大臣との合意に基づいて設置された検討会です。
  薬害肝炎事件の検証を行い、その教訓から再発防止のための医薬品行政のあり方を提言することを目的にしています。薬害肝炎(2名)、HIV(2名)、サリドマイド(1名)合計5名の薬害被害者のほか、私も委員を依嘱されました。

■5月23日を第1回として7月7日までの4回の会議で、市販後安全対策を中心に薬事行政全般について議論を行い、「中間とりまとめ」を行いました。
  秋からは薬害肝炎事件の検証に入り、その検証結果を踏まえ、改めて薬害行政全般にわたる抜本的な改革に関する最終報告書を提出するという予定となっています。

■薬害肝炎の検証から教訓を導く会議でありながら、薬害肝炎事件の検証に先だち、市販後安全対策全般にわたって討議し中間とりまとめを行うというスケジュール設定となったのは、安全対策部門の人員増のための夏の概算要求に間に合わせたいという厚労省側の意向によるものです。この進行に無理があるうえ、論点が多岐にわたっているにもかかわらず、討議時間も討議資料にも不十分という問題を含んでのスタートでした。

■そこで、過去の薬害訴訟や薬害オンブズパースンの活動に基づく問題意識を踏まえ、委員として各回毎の意見書を提出するなどしましたが、意見の通らなかった部分もあります。
  しかし、市販後安全対策の現状についてある程度明かにしたことや(想像以上にひどい現状である)、初回の事務局案に比較すると、本委員会が組織のあり方についても提案することを確認し、監視のための第三者機関の設置、人材育成等などを盛り込む一方、企業出身者の積極的活用、医療機関の副作用報告の簡素化などについては、歯止めをかけることはできました。また、医療機器を医薬品と同様に扱っていくことが盛り込まれた意義も少なくありません。安全対策の人員増のための予算を確保しても、その人員をどこから確保するかが問題であり、事務局には、企業出身者の活用を盛り込んだ中間報告書を得て、企業出身者を大幅に採用していくというシナリオようですが、これは崩れたということになります。人材の育成確保の問題は、組織のあり方をめぐる議論とともに非常に重要な問題でさらに検討が必要です。

■検討会は、これからが本番と言っても過言ではありません。委員会の外での薬害オンブズパースンの活動と連動させながら、委員会で薬害防止のための薬事行政の抜本的制度改革のための提言をぜひまとめていきたいと思っています。

閉じる