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 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)は「自殺リスク」「情報隠し」「メディカリゼーション」などこれまで当会議でたびたび取り上げてきた問題の多い医薬品です。ところが、類似薬のSNRIを合わせると、2003年度の540億円から2007年度は900億円と販売量が急増しており、使用が減少している欧米とは顕著な違いをみせています。確かに、「格差社会」「リストラ」など社会的な要因による「うつ病」の増加と製薬企業が中心となり行政や医師会を巻き込んだ「うつ病」の啓蒙活動や「自殺防止キャンペーン」により全体として受診者数が増え、その結果「うつ病」と診断される方も多くなったことは間違いないことでしょう。
 しかしその増え方は「異常」です。証明されたわけではない「セロトニン仮説」を基軸とした、製薬企業による「市場の地ならし化」(Advertising Based Medecine)が大きく成功したと認めざるを得ません。
 今回の要望書はこの「安全で一般医も使いやすい抗うつ剤」というイメージが定着したSSRIに対して、本当は「重大な副作用もあるが、離脱反応のためにやめたくてもやめられないやっかいな医薬品」であることが明らかになることを期待し、実態がつかみずらい「衝動性亢進(と犯罪との関係)」および「性機能障害」について、添付文書の改訂と実態調査を専門に行う研究班の設置を求めています。
 特に衝動性亢進と犯罪の関係については、法務省や弁護士会にも働きかけ、最近目立っている「異常な殺人事件(その後の自死)」との関係について検証されることを期待しています。

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