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現在、厚生科学審議会の「医薬品販売制度改正検討部会」が継続的に開催され、薬害オンブズパースンの増山ゆかりさんが委員として参加され、熱い議論を闘わせておられます。
今日はその議論状況などについて聞いてみました。(インタビュアー 事務局長 野間)


野間 はじめに、審議会の設立経緯と現状を教えて下さい。
増山 昨年(平成16年)から二年の任期で始まりました。政府の行革推進委員会の提言である一般用医薬品の販売緩和という答申を受けた厚生労働省が、その答申自体を拒絶し、一般用医薬品を一部医薬部外品に移行して、薬剤師の関与なく販売できるようにする一方、それ以外の論点については有識者の検討を受けて対応したい、ということから議論が始まりました。
私は、薬害被害者団体連絡協議会の一員として指名され、任期は二年です。現在親委員会と言われる審議会が8回行われ、その下にある作業部会が5回ほど行われています。
野間 中心テーマはどのようなことで、現在はどのようなことが議論されているのでしょうか。
増山 元々の経緯は、規制緩和の流れを受け、一般用医薬品を薬剤師の関与なく販売したいという経済界の意向を受けて始まりましたが、現在はそれだけではなく、医薬品のリスク区分やその表示・販売方法、消費者への情報提供のあり方など、様々な論点に議論が及んでいます。
野間 具体的にはどのようなことでしょうか。
増山 一般用医薬品には様々なリスクの商品が一律に扱われているという問題は確かにあります。そこで、例えば薬の種類や商品に応じてリスク区分を設定し、それをパッケージに表示することを義務付けるとか、リスクの高い商品はカウンター内にしか置けないとするとか、リスクの高い添付文書についてはホームページで検索できるとか、購入前にもらえるようにするとか。
野間 議論していて感じることはありますか。
増山 やはり経済的な視点からの議論が多く、人々の健康に影響する議論なのだ、という意識が不足していた部分は否定できません。一部委員の中には、どのようにすればたくさん販売できるか、という観点からだけで発言している方もいらっしゃいます。但し、こちらの思いを伝えると聞いてくれる人もたくさんいて、当初に比較すると議論は建設的な方向には進んできたと感じています。
野間 今後の方向性はいかがですか。
増山 厚生労働省は、一部医薬品を医薬部外品に置き換えた段階で、これ以上薬剤師等専門家の関与なく自由に販売する余地はない、と主張しています。従って、全面的な解禁はない、と考えています。今後はリスク区分に応じた自由化を模索する議論に対して、如何にリスクを適切に区分し、その情報を消費者に提供し、安全な販売体制を作れるか、という点にポイントがあるのではないかと思っています。
野間 ありがとうございました。

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