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 薬害オンブズパースン会議が昨年5月に「水道水フッ素添加についての意見書」を公表したのに対し、フッ素利用推進派の歯科医師らで構成される「厚生科学研究歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究班」は、日本口腔衛生学会と連名で、「薬害オンブズパースン会議意見書に関する解説」と題する反論のリポートを作成した。しかし、最も重要な論点である発がん性について、パースン意見書の基礎となったJIP・TIPの委託研究報告書が、水道水フッ素化と発がん性の関連を否定した1991年のHooverら(NCI:米国国立がん研究所)の報告書を批判し、同報告書中のデータの詳細な再分析によって、水道水フッ素化とがん死亡率の強い因果関係を論証しているにもかかわらず、「解説」は、単にHoover報告書の結論のみを引用し、だから水道水フッ素化とがん発生には関連がないと結論づけているだけである。そこでは、JIP報告書の分析内容に対する批判はなく、科学的反論の体をなしていない。

●フッ化物洗口について
 水道水フッ素化は国内では現在行われていないが、教育現場では、フッ化物入り洗口液による集団洗口の是非という形でフッ素使用の問題が現実化している。そこで、パースン会議では、水道水フッ素化の問題に引き続きフッ化物による洗口についても検討してきた。その結果、フッ化物による洗口は、/綟賛紊悗療魂辰両豺腓醗曚覆蝓高濃度の洗口液を使用するため、誤飲による急性中毒の発生の危険性があること、⊂児の場合、うがいの際に洗口液の一部を飲み込んでしまうため、洗口を継続すると長期的には水道水フッ素化の場合同程度の量のフッ素を摂取することとなり、水道水フッ素化の場合と同様の害作用(発がん性等)を生じる危険性があること、等の問題があることが明らかとなった。
 しかし、厚生労働省は、学校等におけるフッ化物洗口の推進へ向けて、大きく動き始めている。今年1月、前記厚生科学研究班が「フッ化物洗口マニュアル」を作成したのを受けて、厚労省は、「フッ化物洗口ガイドライン」を定め、各自治体にフッ化物洗口の実施を迫っている。この「ガイドライン」及び「マニュアル」は、フッ素の危険性を指摘する反対派の意見には全く触れず、安全性のみを一方的に強調する内容となっており、きわめて問題がある。参加は任意であるとし、インフォームドコンセント(説明と同意)の必要性を指摘してはいるが、そこでの「説明」には危険性の説明は含まれておらず、しかも、休み時間などに一斉に行われるという実施形態を考えると、事実上の強制参加となってしまうことが容易に想像できる。
 すでに、突然自治体が十分な説明もないまま洗口実施の方針を打ち出したといった報告や、洗口に反対しようとする関係者に様々な圧力が加えられているといった報告が寄せられている。このような現場に、厚労省や推進派歯科医師らによる「絶対的安全論」だけではなく、フッ素に関する多様な情報を提供することが求められている。

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