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 水道水へのフッ素添加政策(以下「本政策」)は、有効性と危険性に議論が集中していますが、人権の視座から様々な法律的問題も潜んでいます。
 問題点は以下の三点です。

(1) 健康権侵害
本政策は有効性を上回る危険性があり、国際人権規約(A規約)一二条一項及び日本国憲法二五条の保障する健康権を侵害します。

(2) 自己決定権侵害
本政策は、当該水道水給配地域のすべての住民にフッ素添加水道水の摂取を事実上強制することになり、従って住民の拒否権すなわち自己決定権(憲法一三条)を侵害することになります。かかる人権制限を公衆衛生目的(う歯(虫歯)予防)で行うためには、他に代替的手段がなく、自己決定権侵害がやむをえない場合でなければなりません。この点本政策は自己決定権制限を正当化するほどの価値はないと考えられます。

(3) 適正手続侵害
仮に、健康権や自己決定権の侵害が容認される場合であっても、人権制限であることに変わりはなく、憲法上(三一条)法律の定める手続すなわち国会で議決した法律に根拠を有することが要請されますが、かかる法的根拠はありません。

水道法四条一項三号及び厚生省省令を根拠に、0.8mg/lまでのフッ素添加がゆるされているとの見解もありますが、この規定は、水道水利用のための天然水に含まれるフッ素含有量の上限を定めるものにすぎなく、人工的フッ素添加の合法根拠とすることはできません。

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