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 2000年3月31日閣議決定された規制緩和3カ年計画に「医薬品一般販売業における薬剤師・管理薬剤師の配置義務の見直し」が盛り込まれ、厚生省はこれについて検討するとの対応を示しました。薬害オンブズパースン会議はこのような規制緩和は実施されるべきでないとして、内閣と厚生省に対して7月20日要望書を提出しました。
 医薬品一般販売業における薬剤師・管理薬剤師の配置義務とは、医薬品を販売する薬局等は必ず管理薬剤師を配置し、医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供する対面販売を定めた薬事法の規定です。この規定に対して全国チェーンドラッグストア協会が配置義務の緩和を要望し、規制緩和3ヶ年計画に盛り込まれたとみることができます。
 この配置義務緩和の要求はもとをたどれば薬害オンブズパースンとタイアップグループが97年に実施したH2ブロッカーの販売実態調査に端を発しています。私たちは消費者への適切な情報提供を条件に許可されたH2ブロッカーが27%の店舗で全く指導なく販売されていたという調査結果を公表しました。各自治体も調査に踏み出し、首都圏のチェーン薬局等の約3割で薬剤師が不在であるという実態が明らかになりました。そして薬剤師の配置と情報提供を徹底するよう通知が出され、各都道府県での指導強化の動きが始まりました。ところが、このような指導強化に対して、全国チェーンドラッグストア協会は薬剤師不足や双方向通信技術の発達を理由に、薬剤師配置義務の緩和を促す要望書を提出したのです。
 医薬品について消費者は正確な情報を持ち得ているとは言えません。風邪薬による保険金殺害事件が報道された時、患者さんから、「風邪薬で殺害できるなどと全く知らず、大変ショックだった。薬についてもっといろいろ教えて欲しい」と要望されました。 薬に関し身近で得られる情報の多くは効果をうたう宣伝コピーです。正しい情報の提供と判断の援助がないと、不必要な医薬品を購入したり、間違った使い方をして健康を害することになりかねないことが消費者の常識にならなければと思います。そのために果たすべき薬剤師の役割も薬剤師の常識にならなければなりません。

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