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 本剤の問題点については詳しくは前号(七号)の報告をご参照頂きたいが、要するに正常な妊婦に必要もないのに投与されているだけでなく、安全性にもかなりの疑問がある医薬品との結論だ。
 経済的に見ても年間二五億円が無駄遣いされていることになる。
 マイリス班が何人かの産婦人科医に意見を求めたところ「こんな薬はいらない」という意見がほとんどであった。
 当会議は3月22日、
 (1)厚生省医薬安全局(安全対策課)に対し「再評価」を
 (2)製薬企業(鐘紡他四社)に対し販売の一時中止を
 (3)日本母性保護産婦人科医会及び日本産婦人科学会に対し情報提供・検討・調査等を、
それぞれ要望した。
 ところで厚生省への要望書提出当日は、医薬安全局が本剤他三薬剤に関する安全性情報発表の日であった。その発表によれば、本剤の重大な副作用としてアナフィラキシー様症状、胎児徐脈、過強陣痛が指摘され、当会議の危惧が現実化した。
 本剤の投与をめぐって医療事故訴訟が現在二件行われていることも判明した。妊婦のショックで一例は妊婦の脳障害、一例は児の脳障害である。
 今後、一方で治験担当医への公開質問を行って本剤の治験のあり方を問い、他方で妊婦向け雑誌等を介して妊婦への情報提供を行うことを予定している。

用語説明
マイリス…妊婦を対象に、子宮頚部(子宮からの出口)を軟化させ、分娩を促進するための薬。処方の必要のない妊婦にまで使用されていると思われ、安全性にも疑問がある。

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