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 11月3日、お茶の水スクエアで第2回シンポジウムが開かれました。テーマは「薬の情報公開〜日米の比較を通じて〜」。シンポジストとして米国からパブリックシチズン訴訟グループの弁護士アマンダ・フロスト氏、奈良産業大学の天野淑子氏、東京医科歯科大学の津谷喜一郎氏に参加頂き、オンブズパースンの別府宏圀氏を交え、米国での連邦情報公開法の運用状況を踏まえて今一度公表要件制度廃止問題を検証するとともに今後あるべき医薬品の情報公開のあり方を考えました。
 報告ではまず、別府氏から、これまで臨床医は基本的に製薬会社から情報を取らざるをえない立場にいる中で治験論文等の発表論文が医薬品の安全性や有効性を検証するための情報源として重要な役割を果たしてきたことがフェノテロール等を例に報告されました。
 津谷氏からは、現在進行中の日米欧三極医薬品規制ハーモナイゼーション国際会議(ICH)の影響で欧米では採られていないかった治験論文公表要件制度が廃止された背景的状況、今後これに代わるとされている新薬承認情報集をどのように評価すべきか報告されました。
 フロスト氏からは、パブリックシチズンはFDA(米国食品・医薬品管理局)がウェブサイト上で公開する情報にアクセスし此処で改変され或いは隠されていると予想される情報について連邦情報公開法を使い公開を求めてきたこと、情報公開法上の「営業秘密」は薬剤製法以外には適用されないことは明らかだが、企業やFDAは新薬申請の多くの情報を「機密商業情報」であると主張し、訴訟で争われていること等が報告されました。
 天野氏からは、日本の情報公開法では「任意提供情報」が不開示情報とされており、任意提供情報で行政目的を達成する場面の多い日本では運用により公開範囲が広範に制約される可能性が指摘されました。
 ディスカッションでは、アマンダ氏から公表要件制度が廃止されたことは残念であり、三極協調はマイナスの協調であってはならないこと、天野氏からは今後情報公開法を活用する積極的姿勢の重要性が指摘される等、シンポジウムは盛会のうちに幕を閉じました。

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