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米国著名医学雑誌の編集委員を務める医師の半数が企業から金銭収入を得ている

2018-01-22

(キーワード: 医学ジャーナル編集者、企業からの金銭収入、利益相反、米国)

 学術ジャーナルは著者が利益相反を公開することに尽力しているが、どの原稿を掲載するかを決める重要な役割を果たすジャーナル自身の編集委員の利益相反にはあまり注意が払われていない。この研究はカナダの研究者たちが、医師自身の申告ではなく、より正確な米国政府の公表データ (Open Payments) を用い、医学ジャーナル編集委員が企業から受け取った金銭について調査したものである。対象にしたのは2014年時点での、専門分野で高いインパクトファクターのある米国医学雑誌52誌 ( 26専門分野) と米国Open Paymentデータベースで、編集委員は713名である。併せてジャーナルウェブサイトで編集委員の利益相反についてのポリシーが簡単に閲覧できるかどうかも調べている。以下はBMJ誌電子版2017年10月26日に掲載された研究論文(※1)の要旨である。
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 713名の編集委員のうち、361名(50.6%)が企業から個人収入を得ていた。また139名 (19.5%) が研究収入を得ていた。個人収入の平均値 は28136ドル(約315万円)、研究収入の平均値は37963ドル(約425万円)であった。これらはジャーナルとその専門分野で大きなばらつきがあり、最も高額の個人収入があった専門分野は内分泌学(平均値63612ドル、約712万円; 最高値554162ドル、約6207万円)、心臓病学(平均値225556ドル、約2530万円; 最高値10981153ドル、約12憶3000万円)、消化器病学(平均値22010ドル、約247万円; 最高値214053ドル、約2397万円)、リウマチ病学(平均値25548ドル、約286万円; 最高値355923ドル、約3986万円)、泌尿器学(平均値5534ドル、約62万円; 最高値26389ドル、約2956万円)であった。インパクトの高い総合医学ジャーナルの個人収入は、平均3899ドル、約44万円、最高値78617ドル、約881万円であった。

 52誌のウェブサイトでたやすく(5分以内に) 編集委員の利益相反についてのポリシーが閲覧できたのは17誌 (32.7%)のみであった。

 医学ジャーナル編集者への企業の金銭支払いはありふれたことでしばしば高額であり、とりわけ巨額の専門分野が存在する。そうした企業の支払いが掲載論文に対する読者の信頼に及ぼす潜在的なインパクトについてジャーナルは熟考せねばならない。学術ジャーナルの論文著者に求める利益相反への対処を自らにも課す必要がある。

 われわれは次の改善策を提案したい。第1に、各ジャーナルは透明で公にアクセスできる編集者の利益相反ポリシーを定め、実行すべきである。第2に、編集長は企業と考慮すべき利益相反のある人物を編集委員から除くことを考慮せねばならない。
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 日本では編集委員の個人・研究収入の把握が困難であり、このような研究論文がない。しかし、心臓病学などの専門分野の医学ジャーナルの編集委員の企業からの個人収入・研究収入が高額にわたることは想像に難くない。この論文の著者たちの改善策の提案は、日本でも切実な事項であろう。   (T)